# チープオブマインド 世間一般的に言うならば、今はテスト期間中というわけなので家で静かに勉学に励みましょう。というのが、普通の健全な学生の使命である。決して、百歩譲って学校のため、だったとしてもテスト勉強を優先させるべきだろう。一般的な基礎学力より遥かに下のほうにいるわたしなんか、もってのほかだ。だってこの前のテストだって、赤い点と書いて赤点というものがいくつか(正確には3つ)あったし、それに今日のテストだって半分以上は勘だ。だから、というか、赤点を取らないために少しでも多くの知識をこの覚えの悪い脳味噌に叩き込んでおきたいのだ。じゃないと、携帯解約されちゃう。それだけは、絶対、阻止!断固、阻止!せねば、なりませぬ! 「・・・というわけで、あの、わたしはこれで・・・」 「一体どういうわけなの?委員会の仕事をサボろうとするなんて」 「(ひえー!)」 委員長がおっしゃる通り、わたしは自分の頭の悪さを恨みながら委員会の仕事をサボろうとした。でも、決して、悪意やそーいうやましいものなどなく、純粋にテスト勉強をしたかったからであって、委員長自らがそんな物騒なとんふぁーとかいう武器を持たなくともよい話であって。・・・とにかく、委員長が握ってらっしゃるそのとんふぁーとかいう危ない、物騒な武器をなんとかしてほしいです。怖くてなにも、口にできません。 「草壁に君を見張っておくよう言っておいてよかったよ」 「(な、なぬー!!?)」 「それで話は戻るけど、サボろうとしたよね?潔く認めなよ」 「み、認めます!けども、それはテスト勉強に励みたいからであって、決してやましいことなどありませんよ委員長!」 「委員長じゃなくて、雲雀でいいよ」 「あ、はい雲雀委員長!」 「・・・・・うん、まあいいや」 雲雀委員長はやっと握っていらっしゃったとんふぁーをどこかにしまい込んで、椅子に腰をかけた。そして、机の上に置いてある入れたてのお茶をすすると、「まあ座りなよ」と言いお茶をすみっこに置いた。わたしはガチガチになりながらも、雲雀委員長の言うことを聞くとそのまま次の指示があるまで姿勢を崩さず待機していた。未だ雲雀委員長から放たれるピリピリとしたオーラにビクつきながらも、平然を装ってみる。そうしたら、委員長の声が聞こえてきて、わたしの名前を呼ばれた。「」って。呼ばれた。 「どうせ君のことだから家に帰っても勉強はしないし、万が一そんなことがあっても30分ももたない」 「(うっ!今までのわたしを見てきたかのような言い草!しかし、大体は合っている)」 「だからここで僕の手伝いをしているほうが、時間も有効活用できて一石二鳥だ」 「(それは雲雀委員長が、でしょうが!)」 「そして、」 「・・・そして?」 ついその後が気になって、雲雀委員長の言葉を復唱してしまった。でもそれは、雲雀委員長がわざわざ間を溜めるからだ。 「僕の手伝いをすべてこなすことができれば、特別に君の家庭教師をしてあげるよ」 頬杖をついてそう言うと、少しだけフッと笑ったような気がした。あの雲雀委員長が、だ。いつもの「ワオ!噛み殺しちゃうよォ☆」時に見せるいやらしい、あやしい微笑みじゃなくて、ちゃんとした綺麗な笑み。それを見て、ちょっとだけ、ほんの少しだけときめいてしまったのは他の誰でもない、雲雀委員長の目の前にいるわたしだった。雲雀委員長にここまで言われてしまったら、断れないし、後には引けない。雲雀委員長の思う壺になりつつある現状を打開できなかったのは悔しいけれど、こんな好条件付きなら面倒くさい委員会の仕事も少しは楽しみができる。「」「はい、なんでしょう雲雀委員長」「・・・ううん、やっぱりなんでもない」・・・訳の分からない雲雀委員長はさて置き、テストのことなんか忘れて、仕事にとりかかろう。 ( title by 金星 ) Fin. |